就職の常識

今、本当に求められる「キャリア教育」とは何か

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今ではすっかり聞き慣れた「キャリア教育」。この言葉が公的に初めて登場したのは、平成11年の中教審答申においてであった。その後キャリア教育という文言はより浸透し、今や小学校から大学まで共通して使われている。
一方でキャリア教育が未だ様々な課題を内包していることも事実だ。これからのキャリア教育に求められるものとは一体何だろうか。

キャリアとは本来、「自分らしい生き方を実現させること」

「キャリア」と聞いて、何を思い浮かべるだろう。文科省による『高等学校キャリア教育の手引き』によると、キャリア教育における「キャリア」の意味を「人が、生涯の中で様々な役割を果たす過程で、自らの役割の価値や自分と役割との関係を見いだしていく連なりや積み重ね」と定義している。
本来、キャリア教育とは、社会的・職業的自立に必要な基礎となる能力を身につけさせることで自分らしい生き方を実現させることを目的としている。一般的なキャリア教育のイメージは、職業や進路について学ぶというものが多い。高校ではオープンキャンパスに参加したり、大学ではインターンシップに参加したり自己分析をしたり。しかしそれだけで十分と言えるかどうか疑問だ。キャリア教育が単に卒業時の進路選択に留まるのでは意味がない。

リスクを教えることも、キャリア教育の重要な役割

国立教育政策研究所が平成25年3月に出した『キャリア教育・進路指導に関する総合的実態調査第一次報告書』では、高校を卒業した生徒に対しても調査が行われている。その中で「自分の将来の生き方や進路について考えるため、ホームルーム活動の時間などで、どのようなことを指導してほしかったですか」という質問に対して、「就職後の離職・失業など、将来起こり得る人生上の諸リスクへの対応」という項目が上位十項目の中にランクインした。
同じ質問を在学生に対しても行っているが、在学生の調査結果の中でも3位にあがっており、在学生・卒業生共に関心が高いことがわかる。
キャリア教育というのは大抵、正規雇用をベースに考えられている。しかし生徒たちが進む道はそれだけではない。社会に出れば様々な選択肢があると同時に、様々なリスクが潜んでいる。その中で自分の好きなものを見つけることを強いて、「将来なりたいもの」を早急に決めさせることは得策ではない。社会の変容に伴い、キャリア教育も変わるべきである。
好きなものが仕事に直結するとは限らない。より広い視野を持つことが大切だ。本当に自分に向いていることなんて、しばらく働く中でようやくわかることもある。
近年、ブラック企業という言葉が注目を集め、大学では就活の際に離職率まで調べるよう指導しているところもある。夢を持つことを説き、理想の将来像をイメージさせることは大切かもしれないが、リスクを教える責任から逃れてはいけない。現実を見据え、起こり得る将来のリスクを敢えて教えることもキャリア教育の重要な役割の一つだろう。
(文責:糸村真秀)

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