「志願したい大学」トップに輝いた近畿大学の広報戦略

先ごろ、毎年恒例の「進学ブランド力調査」(2017年7月発表、リクリート進学総研調べ)が発表されました。この調査は高校3年生を対象にアンケート調査をした結果を集計したもので、2008年より10年間続いています。

2017年版では、「志願したい大学」で関西エリア1位に輝いたのは、関西大学と近畿大学の2校でした。関西大学は調査開始以来10年連続、近畿大学は前年2位から同率で調査以来初の1位となりましたが、最近の近畿大学の勢いが感じられる結果です。

近畿大学は今や産近甲龍の枠を飛び越えて、関関同立の一角に食い込む勢いです。

事実、この調査でも「活気がある感じがする」「有名である」「学校が発展していく可能性がある」「学生生活が楽しめる」「クラブ・サークル活動が盛んである」等のイメージ調査で、関西エリアに限れば堂々の1位を獲得しています。

“楽しそうな大学”をアピールしたイメージ戦略が見事に当たった感があります。

ただし、大学のイメージで大切な要素となっている“アカデミックさ”(「伝統や実績がある」「教育内容のレベルが高い」「学生の学力が高い」「教養が身につく」「厳格な」「上品な」「知的な」など)に関しては、ほとんどの項目でランク外(10位以下)となっています。

近大と日大は親子の関係だった

近畿大学は1943年に大阪理工科大学として開学し、学生改革で近畿大学となりましたが、その起源を辿れば、1925年に日本大学が設立した日本大学専門学校になります。
よく「東の日大、西の近大」と言われますが、日大と近大は親子関係だったのですね。どうりでよく似ているはずです。遺伝子は確実に受け継がれているといったところでしょうか。

近大の初代総長は世耕弘一氏。和歌山の貧しい農家に生まれ、経済的な理由で中学には進学できませんでしたが、働きながら勉強し、27歳のときに日大に進学した苦労人です。その後、ドイツに留学し、日大教授を経て国会議員になりました。戦後の食糧難時代に、不正に隠蔽された旧日本軍の物資を押収し、庶民の手に届くように市場に流し「世直し世耕」と呼ばれた人物です。

近大のイメージを変えた男、世耕石弘氏とは

近大が大きく変わり始めたのは、2007年に世耕石弘氏が広報を担当してからです。

名前からもわかるように、石弘氏は弘一氏の孫にあたります。さらに伯父は近大2代目総長の政隆氏で、父は3代目理事長の弘昭氏。そして兄は経済産業大臣で、4代目理事長の世耕弘成氏という輝かしい家柄です。

しかし石弘氏も、祖父に違わず苦労人です。父に近大を勧められますが、まともに受験しては到底通らないと、内部進学により同志社大学へ進学しました。その後、近畿日本鉄道(現・近鉄グループホールディングス)へ入社し、ホテル事業、海外派遣を経て、近鉄バッファローズや近鉄百貨店の広報を7年間にわたり携わってきました。
当時の近鉄バッファローズといえば、阪神タイガースの絶大な人気の陰に隠れた弱小球団です。どの媒体も小さくしか扱ってくれません。また、いまでこそ大阪を代表する百貨店になった近鉄百貨店も当時は阪急や大丸、高島屋のトップブランドに追いつけない第2グループの百貨店でした。

これって、関関同立がトップに君臨する関西私立大学の構図に似ていませんか。

大学選びは「どこの大学」よりも「何を学ぶか」が重要

日本の大学界ではブランド信仰が強く、受験生の大学選びに相当な力を発揮しています。本来なら「何を学ぶか」が重要であるはずですが、「どこの大学に入るか」が大学選びの基準になっています。

石弘氏いわく、「関関同立、産近甲龍などのグループに一度入ると、追い出されることも抜け出すこともできない。さながら“入れ替え戦なきリーグ戦”です」(「大学広報は進化する」朝日新聞出版・2018年大学ランキングより)と。

大学界で長年居座っていると、既存の概念を打破することが難しくなってきますが、石弘氏は広報は広報でも、近鉄グループの広報。鉄道やホテル、野球、観光、百貨店などさまざまな分野の広報に携わってきた、いわば広報のプロです。

「若い受験生を相手にする大学には、新しいコミュニケーション戦略が必須です。古くからの常識を脱し転換する必要があります。スマートフォンやSNSの普及によて、コミュニケーションのあり方が変わってきました」(「大学広報は進化する」朝日新聞出版・2018年大学ランキングより)

大学の広報といえば、従来は業者任せの部分が大半を占め、業務として疎かにされてきたところがあります。それを自分たちの手で行い、受験生の心に響く「伝える」広報を展開。
「近大マグロ」や「エコ出願」など、数々のヒットを連発し、「面白そうな大学」という受験生の知的好奇心をくすぐりました。結果、4年連続志願者数日本一を達成する人気大学となっています。

学科別入試難易度(河合塾)

  • 国際学部
    グローバル学科 50.0〜57.5
    東アジア学科 47.5〜50.0
  • 法学部
    法律学科 50.0
  • 経済学部
    経済学科 52.5〜55.0
    国際経済学科 50.0〜52.5
    総合経済政策学科 47.5〜52.5
  • 経営学部
    経営学科 52.5〜55.0
    商学科 52.5
    会計学科 50.0
    キャリア・マネジメント学科 50.0
  • 理工学部
    理学科 47.5〜50.0
    生命科学科 50.0〜52.5
    応用化学科 47.5
    機械工学科 50.0
    電気電子工学科 45.0〜47.5
    情報学科 47.5〜50.0
    社会環境工学科 47.5
  • 建築学部
    建築学科 52.5
  • 薬学部
    医療薬学科 57.5〜60.0
    創薬科学科 55.0
  • 文芸学部
    文学科 47.5〜52.5
    芸術学科 45.0〜47.5
    文化・歴史学科 47.5〜55.0
    文化デザイン学科 50.0〜52.5
  • 総合社会学部
    総合社会学科 50.0〜57.5
  • 農学部
    農業生産学科 50.0〜52.5
    水産学科 52.5〜57.5
    応用生命化学科 52.5
    食品栄養学科 55.0
    環境管理学科 47.5〜52.5
    バイオサイエンス学科 45.0〜52.5
  • 医学部
    医学科 67.5
  • 生物理工学部(和歌山)
    生物工学科 47.5〜50.0
    遺伝子工学科 47.5〜50.0
    食品安全工学科 45.0〜47.5
    生命情報工学科 45.0〜47.5
    人間環境デザイン工学科 42.5〜45.0
    医用工学科 45.0〜47.5
  • 工学部(広島)
    化学生命工学科 45.0
    機械工学科 45.0〜47.5
    ロボティクス学科 40.0〜42.5
    電子情報工学科 42.5〜45.0
    情報学科 42.5〜45.0
    建築学科 42.5〜50.0
  • 産業理工学部(福岡)
    生物環境化学科 45.0〜47.5
    電気電子工学科 40.0〜42.5
    建築・デザイン学科 42.5〜45.0
    情報学科 37.5〜42.5
    経営ビジネス学科 37.5〜42.5
2017年 近畿大学オープンキャンパス 日程

  • 東大阪キャンパス(全学部対象)
    8月19日(土) 11:00〜16:00
    8月20日(日) 11:00〜16:00
    9月24日(日) 10:00〜15:00
  • 奈良キャンパス(農学部)
    9月17日(日) 13:00〜16:00
  • 大阪狭山キャンパス(医学部)
    9月3日(日) 13:00〜16:00
  • 和歌山キャンパス(生物理工学部)
    8月27日(日) 12:00〜16:00
  • 広島キャンパス(工学部)
    8月27日(日) 10:00〜15:00
    10月21日(土) 10:30〜14:00(要事前申し込み)
  • 福岡キャンパス(産業理工学部)
    9月30日(土) 10::00〜16:00

近畿大学オープンキャンパスの詳細は
http://kindai.jp/events/opencampus.html