大阪大学は、旧帝大のひとつの国立大学で、入試の偏差値としては東大・京大に次ぐ難易度とされる超難関大学です。
そんな大阪大学を偏差値以外の観点から、世界ランキング、大学での学び、キャンパスなどについて詳しく見ていきましょう。
難易度、立ち位置ほどの知名度はない
大阪大学は1931年に大阪帝国大学として設立されましたが、原点は緒方洪庵が1838年に設立した適塾だとされています。適塾の流れを汲む旧大阪医科大学が大阪大学の母体となっているためです。大阪大学設立時は医学部と理学部の2学部でした。このことから研究レベルや実績は理系を中心に強みを持っています。
難易度のわりに全国的な知名度はそれほど高くなく、東大京大に次ぐ国立大学であることを知らない一般人も少なくない、ちょっと悲しい大学です。一般の人が良く知っている領域であまり目立っていないことが要因のようです。
例えば
- ノーベル賞で目立ってない
- スポーツでもいいところがない
- 芸能人など大阪大学出身で一般受けする有名人があまりいない
ことなどで知名度があまり高くないようです。
地方に行くと、下手したら関関同立よりも知名度低いこともあるかもしれません。ただし、知名度が大学の価値を決めるわけではありません。大阪大学には素晴らしい研究の環境があります。教員、施設、カリキュラム、仲間、就職先、どれをとっても日本の最高レベルです。
国立大学は私立大学と違って宣伝にお金はかけられません。例えば箱根駅伝に出ている大学なら知っているという方もいるでしょう。お金をかけて選手を集めている私立大学に、国立大学が勝てることは少ないです。ちなみに1994年に筑波大学が出場して以降、国立大学の箱根駅伝出場はありません。高校生のみなさんには大学の知名度が宣伝の結果の知名度なのかどうかは、ぜひ見極めて頂きたいところです。
THE世界大学ランキング2020では世界で301~350位、国内大学で5位
大阪大学は世界の大学のなかの順位としては301~350位で、国内の大学の順位でいうと5位になります。トップ100入りしているのは、東大と京大だけで、東京大学は同率36位、京都大学は前年と同じ65位でした。東京大学、京都大学に続くのは、東北大学(251〜300位)、東京工業大学(251〜300位)、大阪大学(301~350位)、名古屋大学(301~350位)、北海道大学(401~500位)、九州大学(401~500位)です。慶應義塾大学と早稲田大学はいずれも前年と同じ601~800位でした。
2019年4月から新初年次教育「学問への扉」がスタート
研究大学たる大阪大学で2019年4月から新しい初年次教育「学問への扉」(愛称マチカネゼミ)が始まりました。
全学部の1年生が豊中キャンパスで学ぶ大阪大学だから出来る初年次教育といえます。VUCAと言われる予測不能な世の中だからこそ、教養教育の重要性が見直されており、大阪大学でも初年次教育の改革に乗り出しています。
マチカネゼミは15名程度の少人数でテーマ探求を行い、高校までの受動的な学びから、大学での主体的で創造的な学びへの転換を目指していきます。
高校で探求活動に取り組んだ方もそうでない人も、新しい知的好奇心に刺激を受けることでしょう。
シラバス(学生に示す講義・授業の授業計画のこと)は外部に公開されています。以下のURLにアクセスしてみて、「開講科目名/Course Name」のところに、「学問への扉」と入力して検索してみましょう。ずらーっと知的好奇心を刺激する面白そうなタイトルが出てきます。
学生は指定された曜日時限の開講科目から選ぶことができるので、すべての科目から選べるわけではありませんが、ある程度希望は出せるようです。正直、教員による違いは大きいと思いますので当たり外れもあるかもしれませんが、これだけの多種多様な学びを初年次教育で提供できる大阪大学はさすがとしか言いようがありません。知的好奇心を刺激する学びが展開されていることでしょう。大学のシラバスがどのようなものか知るきっかけにもなるので、大学で学びを深めたい人はぜひ一度見てみてください。
大阪大学のイメージは、“真面目”で“地味”
大阪大学には真面目で地味なイメージがあります。京都大学は、自由の校風で秀才よりも天才というイメージ、神戸大学は場所がらオシャレな学生が多く、学びだけじゃなくて遊びもほどほどに、大阪大学はそれに対して京大には届かなかった真面目で秀才タイプが多いイメージが一般的には持たれています。
関東の人からみたノリのよい「大阪」のイメージの大学ではないかもしれません。むしろ、自由の校風の京大のほうがコスプレ卒業式などで見られるような関西のノリに近いと思われます。
データから大阪大学を把握しよう
大阪大学のホームページに「阪大プロフィール」というデータブックがあります。大阪大学に関する情報が載っていますので、ぜひ一度見てみてください。受験者向けということではないのでしょうが、正直なところ情報と事実だけ並んでいて全く面白みに欠けます。それでも、大学の収入ってこういう構成なんだとか、特許取得数ってこんなにあるんだという発見ができます。学生の出身は関西だけでなく、全国から集まっていることもよくわかります。
2年次から学部によってキャンパスが分かれる
大阪の北部エリアにあたる北摂に、キャンパスが複数存在します。1年次は全員豊中キャンパスですが、2年次から学部によってキャンパスが分かれます。部活・サークルはメインキャンパスである豊中キャンパスで行われることが多くなっています。
- 1年次
全学部豊中キャンパス - 2年次
文学部、経済学部、法学部、理学部、基礎工学部→豊中キャンパスのまま
医学部、歯学部、薬学部、工学部、人間科学部→吹田キャンパス
外国語学部→箕面キャンパス
3つのキャンパスは地図上で見ると同じ北摂エリアで近いように思いますが、豊中キャンパスと吹田キャンパスは約7km、豊中キャンパスと箕面キャンパスは約8.5km離れています。学内の連絡バス(無料)でも30分から40分くらいかかります。各キャンパスともに駅からは坂道になっており、しんどいという声もあります。
豊中キャンパス、吹田キャンパスでの女子比率はほぼ同じ。恋愛するならサークルで!?
令和元年の5月1日時点の学部学生数に基づいて、2年生でキャンパスが分かれたあとの女性学生比率を算出すると、豊中キャンパスでは26.4%、吹田キャンパスでは28.6%となり、ほとんど変わりません。学部を超えての交流は部活・サークル以外はそれほどありません。実際のところ、恋愛するなら部活やサークルに入ることを先輩方も勧めています。あまりキャンパスにおける女子比率は恋愛と関係ないかもしれません。
女子学生比率 ※学部学生、令和元年5月1日現在
文学部 | 60.4% |
人間科学部 | 61.0% |
外国語学部 | 64.0% |
法学部 | 38.2% |
経済学部 | 24.9% |
理学部 | 21.5% |
医学部 | 49.6% |
歯学部 | 49.7% |
薬学部 | 41.1% |
工学部 | 12.0% |
基礎工学部 | 9.9% |
合計 | 34.3% |
就職で不利になることはなく、大手企業から自分のこだわり進路まで選択肢の幅は広い
就職に関しては大学名で不利になることはありません。理系であれば、研究室から大手企業の推薦をもらえます。文系でもある程度自分で活動すれば就職に困ることはありません。ただ、特に文系は、大学が手撮り足取り支援してくれるということはありませんので、自分の主体性・判断が重要になります。たまに世の中の常識が分かっていない学生もいます。どの大学でもそうですが、全員が自動的に就職できるわけではありません。
大学のホームページで就職実績を見て頂くとわかりますが、誰もが知っている大手企業が並んでいます。もちろん、大阪大学には多様な価値観の学生がいますので、大手に就職することがすべてではありませんが、他の一般的な大学と比較して、「選択肢の幅が広い」というのは間違いありません。
行ける人が限られた難易度の大学ですが、研究に打ち込める環境の整った素晴らしい大学です。この環境で自分の興味ある学問への扉を開けてみるのはいかがでしょうか。
大阪府豊中市待兼山町1(豊中キャンパス)
TEL.06-6879-7097 (入試課直通)